浮腫みは美容やダイエットの天敵。女性の下半身太りの大半は浮腫みが原因とも言われるほどです。ホルモンのバランスでも水分を溜め込みやすい時期があり、その増減で3〜4㎏も変わってしまう方もいます。
浮腫みに悩まされる一方、体の潤い低下にも悩まされるのはなぜでしょう?どちらも水分なのに実は浮腫みが酷いほど潤いはなくなるのです。その不思議について詳しく書いていきたいと思います。
体液について
人間の体はほぼ水で出来ているといっても過言ではありません。
生まれたばかりの赤ちゃんはなんと80%が水分!ぷるぷるなはずですね。
体内水分量(体液)は成長に伴って少しずつ少なくなり、成人男性で60%、成人女性で55%になります。女性には水を通さない脂肪が多いので、悲しいですが水分量が少めなのです。
体内の水分は栄養こそないもののとても大事な役割があります。取り入れた栄養を細胞の隅々にまで届けたり不要なものを排出したり。全て水分を介して運ばれます。水分なくしては栄養を届けられませんし回収できません。とても重要な役割を担っているのですね。
一言に体液と言っても赤ちゃんのような潤いのある体も浮腫んでいる体もどちらも体液が多い状態です。一体何が違うのでしょう?それは体液のバランス起きています。
体液は2種類ある!
体液は大きく細胞内液、細胞外液に分類されます。更に細胞外液は細胞間液、血液(血漿)とに分かれます。
- 体液
- 細胞内液…全体の約40%を占め細胞の中にある水分。カリウムが多く含まれる液体。
- 細胞外液…全体の約20%を占め細胞の外にある水分。ナトリウムが多く含まれる液体です。
- 細胞間液…細胞を囲むように存在する水分。20%のうちの15%を占めています。
- 血液(血漿)…血液内の水分で5%を占める。
簡単に図で表すとこんな感じです。細胞内液はカリウム(K)、細胞外液と血液はナトリウム(Na)が主な成分となっています。
これらの水分内濃度は浸透圧、血圧などで膜間を水分が行き来して均等に保たれるようになっています。実はこのしくみこそが浮腫みを引き起こす原因となっているのです。
潤いと浮腫の違い
潤いも水分、浮腫みも水分。その違いはどこにあるのでしょう。それは水分が細胞内に多くあるか細胞間に多くあるか?そのバランスの違いです。
潤いは細胞内に水分が満ちていている状態。電解質がバランスよく保たれ細胞に栄養がしっかり届き不要になった老廃物もちゃんと排出されます。細胞の新陳代謝がスムーズに行われ若々しい細胞となります。これが赤ちゃんのような潤いなんですね。
逆に浮腫みは細胞間に水分が過剰にある時のことを言います。細胞に栄養が届かなくなり老廃物の回収も滞ります。新陳代謝が悪く古い細胞がいつまでも蔓延ります。細胞内に水分が過剰に増えてしまう原因は以下の2つ。
- カリウム<ナトリウム
- 静脈の血流不足
それぞれどのような状態なのか詳しく見ていきましょう。
カリウム<ナトリウム
塩分の摂りすぎは浮腫みの原因だと言われていますが、それは細胞内液と細胞間液の濃度差から起きます。
水の特徴として膜を隔てて濃度の違う液体を入れると、水分が移動して同じ濃度にしようとする性質があります。
ナトリウム濃度が高くなると細胞内液と濃度を同じにするために細胞内液から細胞間液に水分が流出し、細胞間液の水分量が増えるのです。
さらにカリウム濃度が薄くても濃度を高めるために細胞間へ流出してしまいますので、ナトリウム摂取とカリウム摂取のバランスはとても大切なのです。
現代社会ではナトリウムは摂りすぎ傾向、カリウムは不足傾向にあります。浮腫みやすい方は意識をしてナトリウムの摂取は控え、カリウムを積極的に摂取するよう心がけるといいですね。
静脈の血流不足
座りっぱなしや立ちっぱなしで足が浮腫んだ経験のある方は多いと思います。これは静脈の血流不足が原因の浮腫みです。
血液と細胞間液は血圧と浸透圧のバランスで水分量を保っています。通常、動脈は35mmHg・静脈は15mmHg・細胞間浸透圧は25mmHgとなっています。
動脈では血圧>細胞間液の浸透圧になるので、血液から細胞間液に水分移動します。この時栄養なども水に溶け細胞に届けられるのです。
そして静脈では血圧<細胞間液の浸透圧になるので、細胞間液から血液へ水分移動します。この時要らなくなった老廃物も回収します。
しかし、静脈で心臓に戻す力が弱く血液が停滞してしまうと静脈での血圧が上がり、静脈での血圧>細胞間浸透圧になってしまい細胞間液から血液へ水分移動が出来ず逆に血液から細胞間液へ水分が移動してきてしまいます。
老廃物も排出できず、細胞間にどんどん溜まってきてしまうという状態に。これが足で起きる浮腫みです。重力に逆らって押し戻すのは筋肉の動き。筋肉量が少ない女性は特に足先から心臓へ押し戻す力が弱いので浮腫みやすいと言えるのです。
筋肉量と潤いの関係
筋肉と脂肪のバランスから男性より女性の方が水分量が少ないと前半で説明をしましたが、脂肪が多ければ多いほど水分量は減り筋肉があれば水分量は増えるとも言えます。
なぜなら脂肪には水分はありませんが、筋肉はたくさん水分を含んでいるからです。
水分を含む細胞が増えれば体内水分量も総合的に増えてきます。ですので筋肉量が減ってしまう高齢者は水分をたくさん含んだ細胞そのものが減ってしまうので体内水分量は50%と下がってきてしまいます。
逆に筋力トレーニングで筋肉が増えると体の水分量が増えますし、筋肉をたくさん動かすことで成長ホルモンも分泌し代謝機能が上がります。
筋肉は潤いアップや代謝アップのためにとても重要な役割を担っているのです。
まとめ
体内水分量での体重の変動は脂肪が増えたわけではありません。ですが、浮腫は代謝低下・機能低下の元になります。脂肪が蓄積される要因の一つです。
浮腫みを解消するだけで2〜3㎏変わってきますし、代謝もアップ!塩分の取り過ぎに気をつけ、カリウムを積極的に摂り、筋肉をたくさん動かし浮腫みのない潤った体を目指しましょう。
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