股関節の外旋と内旋どちらが得意ですか?一般的に男性は外旋傾向、女性は内旋傾向の方が多いと言われています。
もともと女性の方が靭帯が柔らかく関節の可動域も大きいのですが、このように男性と女性で股関節の外旋内旋に差がでてくるのはなぜでしょう?
あなたは外旋?内旋?
自分の股関節が外旋と内旋どちらの傾向があるか意識したことありますか?柔軟性が高い人はどちらでもない可能性もありますが、下記の2種類の座り方で得意な方、苦手な方があれば外旋内旋どちらかが強いということになります。
『あぐらはラクだけどぺたんこ座りは苦手』『関節に無理がかかってる感じがする』という方は股関節が外旋の傾向があります。逆に『あぐらは膝が立ってしまってかきにくい』『ぺたんこ座りの方がラク』という方は股関節が内旋の傾向があります。
男性はあぐらの方が得意でぺたんこ座りはどうして出来るか分からない!と思うほどの無理な体勢という方が多いのではないでしょうか?
柔軟性がある女性ではどちらも出来る方も多いですが、ペタンコ座りが難なく出来る人が多いですね。
生活習慣の違い
股関節の男女差でまず挙げられるのが、生活習慣です。日本では床座りの習慣があります。男性はあぐらで座ることが多く女性は横座りや割座(ペタンコ座り)が多い傾向にあります。これは股関節の可動域でその方が座りやすいというのもありますが、服装なども関係してきています。
男性は袴の時代からパンツスタイルで生活しています。武士などは強く大きく見せるなどの意味合いもあったでしょう。股を大きく広げてあぐらをかく癖ができています。その点女性は着物やスカートなど股を大きく広げられない服装で長く生活していたため、股は広げず閉じて座る癖がついています。正座を横に崩した横座りや左右に広げて崩した割座で股関節を内旋する座り方が多くなりました。
この長く根付いた生活様式から男性は股関節外旋傾向、女性は股関節内旋傾向となっていることがまず挙げられます。
骨盤の男女差
次に挙げられるのが骨格の違いです。骨格は男女で違いがあり、骨盤もそのうちの1つです。
骨盤は仙骨と寛骨で出来ていますが、全体的に男性は幅が狭く縦長、女性は幅が広い楕円形になっています。
以下に男女の骨盤の差について詳しく説明します。
《骨盤の男女差》
男性 | 女性 | |
仙骨 | 狭くて縦長 | 幅広く短い |
腸骨の角度 | 閉じている | 開いている |
恥骨結合 | 長く硬い | 短く柔らかい |
恥骨下角 | 狭い(約60°) | 広い(約80°) |
骨盤上口 | 丸いハート型 | 横広な楕円 |
小骨盤腔 | 漏斗状 | 円筒状 |
恥骨位置 | 腸骨より前 | 腸骨より後ろ |
このように骨盤は男女で構造が異なっています。これは女性がスムーズに出産を行えるための構造になっている為です。
さて、そこでこの骨盤の違いを踏まえて股関節の外旋内旋について見ていきましょう。
まず、股関節の筋肉は骨盤から大腿骨に付着しています。ですので、骨盤の形状が違えば股関節の外旋筋内旋筋の使われ方も変わってきます。そして腸骨の仙骨に対しての角度が違うため、大腿骨頭がはまっている寛骨臼の角度も変わってきます。
大腿骨頭は通常15°ほど前捻していて、この前捻角が大きいと内股になりやすく小さいとガニ股になりやすくなっています。男性はこれら骨格状、前捻角が少し小さい傾向になっているのでつま先を正面にした時にはすでに内旋した状態となり、それ以上の内旋可動域はかなり少なくなってしまいます。
また、骨盤が細長く外旋傾向で生活をすることで、男性は股関節の外旋筋が使われ強くなります。男性の方がお尻が小さく発達しやすいのも骨盤の形や外旋筋の強さがあるわけです。一方女性は骨盤が幅広く恥骨結合も柔らかいため、股関節の安定性が男性より低くなります。股関節は伸展・内転・内旋で安定性が高まるので、筋力の弱い女性では股関節を内旋して安定感を高めていることが多いのです。
まとめ
男女で外旋内旋可動域が違うのは「長年の生活習慣」と「性別による骨格の違い」によるものなんですね。
もちろん、男女でも骨格には個人差はありますし柔軟性にも個人差があります。
骨格によるものでも、関節の構造上それ以上可動は見込めないものと股関節周りの筋肉をメンテナンスしていけば可動域が広がるものとあります。
たとえば男性は外旋筋を緩めるストレッチ、女性は内旋筋を緩めると同時に外旋筋の強化などです。
構造上、可動が少ない場合も最大の可動を維持していくためには日頃のメンテナンスが大切です。
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