膝はとても負荷がかかりやすく故障しやすい部分です。転んだり捻ったり身に覚えのある衝撃が加わったのなら原因も分かりますが、日常生活で突然痛み出すこともあります。
鈍痛の時もありますしピキッとした痛みの時もあります。階段を上り下りなど決まった動作の時に痛む時もあります。
単純に膝の痛みと言っても、膝の内側だったり外側だったり下や上の場合もあったりと痛む箇所は様々。痛む箇所によっての考えられる原因を見ていきましょう。
膝の内側が痛い
膝の内側が痛い場合は鵞足炎・内側側副靱帯損傷・内側半月板損傷の可能性があります。
鵞足炎は膝内側の少し下になりますし、内側側副靱帯は膝関節の横、内側半月板はその少し奥になります。また、痛みの程度も鵞足炎でしたら痛いけど歩いたり走ったり出来ることが多く、内側側副靱帯や半月板を損傷した場合は歩行に影響がでるほどの痛みの場合が多いです。半月板損傷では膝関節のロッキングがかかり突っかかりや動かしにくさがでることもあります。
鵞足炎
鵞足とは縫工筋・半腱様筋・薄筋の筋肉の腱が脛骨の内側に付着する場所がガチョウの足に似ていることからそう呼ばれています。場所は膝の内側5cm〜7cm下になります。
この3つの筋肉は全て股関節と膝関節の二関節筋で、膝関節の内旋作用があります。ニーイントゥーアウトと呼ばれる膝が内側へ入ってしまう方やO脚X脚など膝の捻れががある方に発症しやすく、どれも膝の屈伸動作を繰り返すことで炎症が起こります。痛みの出る状況としては階段の上がり下りです。
膝の酷使を軽減するほかに体の使い方やバランスも整える必要があります。
膝内側側副靱帯損傷
内側側副靱帯は内側で大腿骨と脛骨を繋いでいます。下腿が外側に開く外反膝にならないよう制御したり外旋方向に捻りすぎないように制御しています。
内側足服靭帯の損傷は膝の損傷で1番頻度が高くなります。スポーツや日常生活での転倒・衝突などで外反方向または外旋方向への負荷がかかった時に起こります。
内側半月板損傷
半月板は脛骨に付着する繊維状の軟骨板です。内側と外側に三日月状の半円形で存在し、その上に大腿骨が乗ることで膝関節を安定させています。膝にかかる大きな負荷のクッション代わりになり摩擦を軽減して円滑に動けるようサポートしています。
スポーツなどで膝に大きな衝撃負荷がかかった場合に損傷しやすいですが、加齢による劣化や筋力不足などで膝関節に過度な荷重がかかって徐々に傷がつく場合もあります。
内側半月板は外側半月板よりも負荷がかかりやすく、特に膝を曲げた状態での捻る動作で損傷しやすくなります。
膝の外側が痛い
膝の外側が痛い場合は腸脛靭帯炎、外側側副靱帯損傷、外側半月板損傷の可能性があります。
外側側副靱帯や外側半月板は強い衝撃によって損傷する事が多いので、特に思い当たることがなく膝の外側が痛い場合は腸脛靭帯炎を疑うのが妥当でしょう。
腸脛靭帯炎(ランナー膝)
腸脛靭帯とは太腿の側面を走っている太くて強靭な靭帯です。大腿筋膜張筋と大臀筋に繋がっていて、膝関節を通り脛骨に付着しています。股関節と膝関節の安定性を保つ役割があります。
膝の屈伸を繰り返したり、O脚や外側重心だったり外側への力が強くなると膝関節で摩擦が過度に生じて炎症が起こってしまいます。
走ったり、走り終えた後に痛みやすく、特に曲げた状態から伸ばした時に痛みが強くなります。
膝外側側副靱帯損傷
外側側副靱帯は外側で大腿骨と腓骨を繋いでいます。下腿が内側に開く内反膝にならないよう制御したり内旋方向へ捻りすぎないように制御しています。
単独で損傷することは少なく、大きな衝撃によって他の靭帯と共に損傷することが多い部分です。原因としてはスポーツ時の転倒やタックル、不意の事故などが挙げられます。
外側半月板損傷
半月板は脛骨に付着する繊維状の軟骨板です。内側と外側に三日月状の半円形で存在し、その上に大腿骨が乗ることで膝関節を安定させています。膝にかかる大きな負荷のクッション代わりになり摩擦を軽減して円滑に動けるようサポートしています。
外側半月板損傷は内側半月板損傷に比べると多くはありませんが、スポーツなどで膝に大きな衝撃があれば損傷します。ジャンプの着地や衝突時など大きな力が加わった上に足が捻られるなど捻る動きと大きな衝撃が加わった時が起こりやすい条件となります。
膝の上・中央・下が痛い
膝の上から中央を通り下が痛む場合は、大腿四頭筋から繋がっている腱の炎症を疑います。
膝関節の上や中央でしたら大腿四頭筋炎ですし、膝関節の下でしたら膝蓋腱炎となります。どちらもジャンパー膝として一括りにされることが多いですね。
また、もし痛みがある方がスポーツをしている成長期のお子さんでしたらオスグッド病の可能性もあります。これも原因となるのは大腿四頭筋からの腱で、まだ成長過程で使いすぎることで脛骨の腱付着部の成長軟骨部が剥離してしまう病気です。
大腿四頭筋腱炎・膝蓋腱炎(ジャンパー膝)
大腿四頭筋の腱は膝蓋骨手前でひとつになり膝蓋骨に付着し、膝蓋骨を経由して膝下の膝蓋腱になり脛骨に繋がっています。
ジャンプを繰り返すようなスポーツをしていたりランニングなど膝の酷使・屈伸運動を繰り返す方が起こりやすくなります。大腿四頭筋が拘縮していることが多いので腿の前側をストレッチし緩めてあげることが再発予防にも繋がります。
膝の奥が痛い
膝の奥が痛い場合は、膝蓋骨の奥ということで膝関節での痛みの可能性があります。代表的なものが変形性膝関節症です。奥の内側寄りに痛みを感じることが多いですが、外側や膝裏に痛みを感じる方もいます。
また、膝の奥が痛むにもかかわらず膝関節の変形が見られない場合は膝蓋骨の下にある脂肪体の炎症が起きているという膝蓋下脂肪体炎というものもあります。
変形性膝関節症
変形性膝関節症は膝関節の関節軟骨がすり減って痛みが出る症状です。膝関節の関節軟骨とは大腿骨と脛骨の頭についていている軟骨で、半月板の軟骨とは別です。関節軟骨を安定させるためのクッションが半月板になります。
加齢やO脚、または肥満により膝関節に大きな負荷が
かかり続けると徐々にこの軟骨がすり減ります。
また、靭帯を損傷して治療をしっかり行わないと不安定感が残り、軟骨に負荷がかかってすり減ってしまいます。
その他
これが起こると原因は何だろう?と思っている場合じゃないのが前十字靭帯または後十字靭帯の損傷です。スポーツ中の急な動きで突如やってくる痛みとともに歩けなくなることが殆どです。関節内で出血し腫れて熱を持ち、安定感も失われます。
前十字靭帯損傷
前十字靭帯は膝関節の下にあり、大腿骨と脛骨を繋いでいる靭帯です。大腿骨に対して脛骨が前に行かないように制御したり捻りすぎないように制御する働きがあります。
前十字靭帯損傷の原因は、ジャンプからの着地や急な方向転換など無理な負荷がかかった時。後十字靭帯よりも損傷しやすい部分です。
後十字靭帯損傷
後十字靭帯は前十字靭帯と同じく膝関節の下にあり、大腿骨と脛骨を繋いでいる靭帯です。大腿骨に対して脛骨が後ろに行かないように制御したり捻りすぎないように制御しています。
後十字靭帯は前十字靭帯の2倍の太さと強さがあり、損傷頻度はそう多くなく、損傷する場合には他の靭帯も損傷していることが多くなります。後十字靭帯損傷の原因としては転倒して膝を突いたり激しく人とぶつかったりした時です。
まとめ
膝の痛みでもこんなに症状や原因があるんですね。ちなみに、骨折というパターンもあります。
いずれにせよ、スポーツもしてなくて特別身に覚えがないのに痛みを感じたら、それは体の使い方が悪いことが第一に考えられます。
日頃から歩き方や姿勢、バランスを意識して改善していくことをお勧めします!
コメント