手は普段から酷使しがちな部位です。最近ではパソコンやスマホなど手指だけの作業が多くなり、手首や指先に痛みを感じる方も多くなっています。
一概に手首が痛いといっても原因は様々。今回は手首が痛む症状について書いていきます!
手首の小指側が痛い
手首の小指側が痛い場合はまず【TFCC損傷】と【マウス腱鞘炎】を疑います。詳しく見ていきましょう。
TFCC損傷
小指側が痛い場合は、まずTFCC損傷が疑われます。TFCCとは三角繊維軟骨複合体のことで、手首の小指側にある軟骨と靭帯からなる手首の安定性を保つクッション機能のある組織です。
手首を使う仕事やスポーツ(テニスやバドミントンなど)をしている方が発症しやすい傾向にあります。また、加齢で組織変化でも起こります。
症状としては手首の不安定感が起こり痛みやぐらつき感、引っ掛かり感が起こります。ドアノブを回したりぞうきんを絞るといった手首をひねる動きで痛みを感じたり、手を付くときに小指側に痛みを感じたりします。
治療は保存療法を用いることが多くなります。手首を固定し動きを制限するためにサポーターを利用したり痛みがでる動作を避けるなどの指導があります。
3ヶ月以上経過しても改善しない場合は手術も検討する場合もあります。
マウス腱鞘炎
マウス腱鞘炎は小指側の腱鞘で起こる炎症です。腱鞘とは筋肉の腱を束ねる筒のようなもので、酷使することで摩擦が起き炎症が起きてしまいます。手首の腱鞘では親指側で起こるドケルバン腱鞘炎が有名ですが、小指側にも腱鞘はありますので酷使すれば炎症は起こります。
マウス操作の他にもキーボード操作やピアノ、またはスマホ操作の時に小指で支えるなどして痛みが起きてしまう方もいます。
治療としては保存療法で手首の固定と痛くなる動作を避けるといった対処で経過を見ます。
症状がある程度収まってきたら手首のストレッチを取り入れて筋肉を緩めていくと再発予防に役立ちます。
手首の親指側がいたい
手首の親指側が痛い場合は【ドケルバン病】や【拇指CM関節症】、しびれが伴う場合は【手根管症候群】が疑われます。
ドケルバン病
ドケルバン病は腱鞘炎の一種で、手首の腱鞘炎では最も多い発症率になります。
親指側の腱を束ねる腱鞘での炎症で、パソコン作業やスマホ操作などで親指を酷使することで発症します。
親指はほかの指と違い動きが大きく使う頻度が高い指ですのでとかく炎症が起きやすくなる場所です。
妊娠中や産後の女性や更年期の女性にも起きやすく、これはホルモンが関係しています。妊娠や出産の時期には女性ホルモンのプロゲステロンの分泌が多くなり、その影響で腱鞘が収縮します。さらに育児で手を酷使することで炎症が起こりやすくなってしまうのです。更年期になると女性ホルモンのエストロゲンが減少します。それにより腱鞘の弾力性が失われ炎症を起こしやすくしてしまうのです。
ドケルバン症候群の症状としては指を握った状態で小指側に手首をひねると強い痛みが出たり炎症部の腫れがみられる場合もあります。親指を曲げ伸ばしするだけでも痛むこともあります。
治療法はやはり保存療法が多く、テーピングやサポーターを利用しながら手首を使う動作をできる限り避けるといった方法が有効です。
痛みが強い場合は鎮痛剤などを用いたり超音波などで血行を改善し痛みを緩和させる方法もありますし、ステロイド剤を注射すると即効で痛みを和らげることができます。
どうしても休めない場合、痛みが強くて辛い場合などに用いられます。
炎症がおさまり痛みが軽減してきたら、酷使している筋肉を緩めるケアも有効です。主に母指外転勤や短母指伸筋が炎症の原因になってくるので腕のストレッチなどを少しずつ行っていきましょう。いったん治ったとしても日ごろから筋肉をストレッチし血行をよくしておくことが再発防止になるでしょう。
拇指CM関節症
拇指CM関節症は親指の手根中手骨関節の炎症です。手根中手骨関節というのはイラストのように手根骨と中手骨とからなる関節。親指の手根中手骨関節のことを拇指CM関節といいます。
親指はドケルバン症候群の時にもお話したとおり、ほかの指と比べて動きが大きく使う頻度が高くなります。力も出しやすくなるのでつい負担をかけてしまいがちです。
このようなことから、このCM関節は一番可動が大きくなり負担も大きくなる場所なのです。
大きな負担が続くことで関節にある軟骨がすり減り、さらには亜脱臼がおこり変形してしまうこともあります。
瓶の蓋をあけたりペットボトルの蓋を開ける動作、またはボタンをかける時など握ったりつまんだりする動作で痛みが起こります。CM関節部分に腫れがあり押すと痛みます。
治療としてはやはりテーピングやサポーターによる固定で動作を制限することと、痛みが強い場合には鎮痛剤を使います。関節の亜脱臼が起きている場合には手術を検討する場合もあります。
ドケルバン症候群やリウマチと症状が類似しているので区別が大切になります。
手根管症候群
手根管とは手首にある神経や腱が通るトンネルのことで、このトンネルには指を支配する正中神経や筋腱が通っています。手根管が何らかの原因で圧迫されることでその先の指に痛みやしびれが起こります。
初めは示指(人差し指)や中指に起こり、徐々に拇指(親指)にまで広がります。しびれがひどくなるとOK サイン(親指と示指で丸を描く)ができなくなったり指先の動作がしづらくなります。
しびれは起床時に強くあらわれやすく、正中神経が司る小指以外の指先がしびれたりジンジン痛んだりします。手指を動かしていると次第に楽になるのが特徴です。しびれが強くなった時には手をふると楽になったりします。
手の使い過ぎやケガのほかに、やはり妊娠中や育児中の女性や更年期の女性の発症が多く女性ホルモンが大きく影響してきているものと思われます。
治療はやはり保存療法が主で安静が一番になります。手首の固定や痛くなる動作を避けるような生活を心がけるよう指導されます。痛みが強い場合には鎮痛剤を使用したり、2~3か月経過しても改善しない場合にはステロイド注射や手術を検討する場合があります。
手指のストレッチ
痛みが改善したあとのリハビリや再発防止には手指のストレッチがおススメです。手指を酷使しがちな方は普段からストレッチを取り入れて筋肉を緩めていきましょう。
ストレッチする部位は指や手首・前腕の筋肉。一緒に上腕もストレッチをすると更に効果的です!
肘を伸ばしてストレッチをすると上腕に繋がってる伸筋群、屈筋群にストレッチがかかりますし、肘を曲げてストレッチをすると長母指伸筋、長母子屈筋などの深層筋にストレッチがかかります。
伸ばす箇所を変えてまんべんなくストレッチをしましょう!
おすすめサポーター
手首のサポーターにも種類があります。どれを選べばいいのか?迷いますよね。
サポーターは症状と生活を合わせて選ぶと良いでしょう。
♦︎ドケルバン症候群や拇指CM関節症の場合は手首と親指の動きをサポートするようなものがあります。
♦︎TFCC損傷など小指側が痛い場合はこちらを。小指側手首をサポートしつつも日常生活に支障のでないタイプです。
♦︎どの痛みの場合でも手首の動きをしっかり固定できるかつ、手の動きの邪魔にならないものは万能です。
♦︎手を動かさない時、就寝時などは全体をしっかり固定できるものもおすすめ。
♦︎症状が良くなってきたら再発防止のために仕事中など手首を使う時に手首だけのサポーターを付けると良いですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。手首の痛みはパソコンやスマホ以外にも女性ホルモンにも深く関係してきていますので、更年期や育児中の女性手指の使い過ぎには注意しましょう。育児は休みたくても休めないことが多いかと思いますが、抱っこをする時には家でも抱っこひもを使ったり事情を話してご両親やご主人に協力してもらうなどして休める環境を作っていけるといいですね。
また、今回紹介した症状のほかにも手首まわりが痛む症状はたくさんあります。手の甲に痛みを感じるキーンベック病やゼリー状の良性の腫瘤ができるガングリオン、または骨折なども可能性としてはあります。
痛みが続く場合には我慢をせず一度専門機関でレントゲンなどとってもらうことをお勧めします。
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